北中城村(きたなかぐすくそん)にある中村家住宅は、戦前の沖縄建築を今に伝える貴重な文化遺産です。数百年前の琉球の人々が暮らした痕跡や知恵を伝えてくれます。
沖縄に限らずですが、その地に古くから遺る住宅を観る事は、その土地に息づく歴史や文化を深く知ることができる先達からのメッセージを聞くことかもしれません。
見学は、晴れた日がおすすめ。中村家の居間から中庭を眺めると百年ぐらいはタイムスリップするかもしれません!ちょっと地味な観光地かもしれませんが、中城城と一緒に観光することで、琉球王朝の政治や人々の暮らしが感じられます。
中村家の歴史は、先祖である賀氏が1600年前後、戦国武将の護佐丸(琉球の有名な武将)と共に中城に移ってきたことからはじまります。
1720年頃からは中城の地頭職に任ぜられ中村家を建築したと伝えれています。日本建築の様式と沖縄の風土・気候にあった建築様式で、台風から守る石垣と湿気から土台を守る開口部の大きい床下通風は沖縄独特のものでしょう。
また家中の戸を外すと大空間が生まれます。これは日本の東北・北陸・山陰などの農家建築の伝統的な空間構成です。親戚やご近所さんが集まる冠婚葬祭時に力を発揮します。人が集まりやすい、集いやすい建築です。
琉球時代はこの大空間で三線を弾き、唄を歌い豊作を祝ったかもしれません。
現存する中村家住宅は、琉球時代の豪農住宅の様子が保存され、今では国の指定重要文化財として鎌倉・室町時代の日本建築と琉球建築が融合した独自の建築文化を伝える貴重な文化遺産です。
1997年に日本郵便が日本の民家シリーズの切手として発売した十数枚の一軒として選ばれました。
中村家住宅
■所在地:沖縄県北中城村字大城106 TEL098-935-3500
■見学時間:午前9時〜午後5時30分まで(年中無休)
■見学料:【大人・大学生】500円(団体450円) 【中・高校生】300円(団体270円) 【小学生】200円(団体180円)
■アクセス:(車)・那覇市内より国道58号線経由約35分。沖縄自動車道(高速)那覇ICより約15分